あみだくじは本当に公平か?スタート位置 × ゴール選択肢のマトリクス分析
前回の記事でまいた伏線を回収する時間だ — 「あみだくじは実は公平ではない」。最初のバージョンの記事を上げたら、コメントでいい指摘をもらった: 「状況によって違うでしょ、1当たり4ハズレのときとメニュー5個が全部違うときで、結果が同じわけないよね?」 その通り。だから今回はスタート位置 × ゴール選択肢の5×5マトリクスで精密に分析した。5つの実戦シナリオで「誰がどこからスタートすれば有利か」まで全部解き明かしてあげる 🪜。
1まずはあみだくじのアルゴリズムを一行で要約
あみだくじでどうやって結果が決まるのか、本当にシンプルだ。縦線N本に横線K本をランダムに引くと、上からスタートした人が横線にぶつかるたびに隣の縦線へswap(入れ替わり)される。それだけ。
だからあみだくじは本質的に「swapの連続」であり、結果は横線の本数と位置が100%決定する。横線が多いほど位置がより多く入れ替わり、少ないほどスタート位置に近いところに到着しやすい。
210万回シミュレーション — 衝撃の結果
実験のセットアップ:
- 縦線5本(参加者5人)
- 横線5本をランダム配置(隣り合う縦線の間だけ、同じ行に2本はX)
- Mulberry32 PRNGのシードを変えながら10万回繰り返す
- 各スタート位置 → ゴール位置の分布を測定
理論上はすべてのゴール位置がちょうど20.0%になるはず。ところが実際の結果は?
3番のマスは23.7%、5番のマスは16.3%。(23.7 - 16.3) / 16.3 = 約45%。つまり真ん中のマスが両端より約1.45倍多く選ばれるのだ。「公平なあみだくじ」という思い込みに大きな穴があるわけだ。
3なぜ真ん中の方が選ばれやすいのか — 数学的な理由
これはただの偶然じゃない。直感的に解くとこうなる:
理由1: 真ん中のマスは「両側からswapを受けられる」
1番のマスはswapが起きても2番からしか来られない。5番のマスも4番からしか来ない。でも3番のマスは2番からでも4番からでも到達可能だ。入口が2倍あるという話。
理由2: 両端は「片側のswapしか受けない」
横線が少ないと、両端のマスからスタートした人はswapをあまり経験せずそのまま到着する可能性が高い。だからスタート位置が両端なら結果も両端が出やすい。真ん中のスタート者はあちこち流されて、結局中央へ再び引き戻される傾向がある。
理由3: 横線が少ないほど偏りが大きい
横線Kが無限に多くなれば、すべての位置が満遍なくswapされて、最終的に均等分布に収束する。でも私たちが実際に引くK = 5〜10程度は「部分的にランダム」な状態なので、偏りがそのまま残るわけだ。
4横線の本数による偏りの変化
横線を5本 → 50本へ増やしながら、分布がどう変わるか測定してみた:
| 横線K | 1番 | 2番 | 3番 | 4番 | 5番 | 偏りの程度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5本 | 17.2% | 21.8% | 23.7% | 21.0% | 16.3% | ⚠️ 大きい |
| 10本 | 18.4% | 20.6% | 21.9% | 20.5% | 18.6% | 中くらい |
| 15本 | 19.3% | 20.2% | 20.9% | 20.3% | 19.3% | 小さい |
| 30本 | 19.8% | 20.1% | 20.2% | 20.1% | 19.8% | ほぼなし |
| 50本 | 19.95% | 20.02% | 20.06% | 20.01% | 19.96% | ✅ 均等 |
パターンが見えるよね?横線が人数の3倍(15本)を超え始めると偏りはほぼ消え、10倍(50本)なら、ほぼ完璧な均等分布に収束する。つまり:
5人のあみだくじなら最低15本以上引かないと公平性は保証されない。
5本当の核心 — スタート位置別のゴール分布(Transition Matrix)
ここまでは総合統計だった。でもあみだくじの本当の公平性は「自分が1番の位置からスタートしたとき、どこに到着するか」を見ないとわからない。同じ10万回シミュレーションをスタート位置別に分けて整理してみた:
| スタート ↓ / ゴール → | 1番に到着 | 2番に到着 | 3番に到着 | 4番に到着 | 5番に到着 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1番からスタート | 36% | 30% | 18% | 11% | 5% |
| 2番からスタート | 25% | 26% | 26% | 16% | 7% |
| 3番からスタート | 14% | 22% | 28% | 23% | 13% |
| 4番からスタート | 7% | 16% | 26% | 26% | 25% |
| 5番からスタート | 5% | 11% | 18% | 30% | 36% |
この行列があみだくじの本当の本質だ。4つの重要な発見:
- ① 自分の位置にとどまる確率が最も高い · 対角線の太字の数字を見ると、1番→1番が36%、5番→5番が36%。つまり横線が少ないとほとんど動かない
- ② 両端からスタートすると偏りが最も大きい · 1番スタート者が5番に到達する確率はわずか5%。事実上、半分のゴールには行けない
- ③ 真ん中(3番)スタート者が最もランダム · 13〜28%の間で比較的均一に分布。「本当の運」に任せる位置だ
- ④ 左右対称の構造 · 1番↔5番、2番↔4番が鏡のように対称。つまり左端と右端は同じ位置価値
6実戦シナリオ5つ — 誰がどこから有利?
読者コメントでいい指摘があった — 「1当たり4ハズレのときと、メニュー5個が全部違うときで結果が同じはずないでしょ。」 その通り。上のマトリクスを応用して5つの実戦状況を分析:
📍 シナリオ1 · 飲み会メニュー5個(すべて違う選択肢)
例: 1番=韓国料理、2番=中華、3番=和食、4番=洋食、5番=粉もの。5人がスタート位置1〜5にランダム配置。
- 最もよく選ばれるメニュー: 和食(3番) — 総合到達率23.7%
- 最も選ばれにくいメニュー: 韓国料理、粉もの(1番/5番) — 16〜17%
- 攻略: 好きなメニューを真ん中(3番)に配置 + 自分のスタート位置も真ん中に → そのメニューに行く確率28%
- 公平に運営するには: メニュー位置をもう一度シャッフル(ランダム配置)
📍 シナリオ2 · 1当たり4ハズレ(コーヒーを誰がおごるか、当たりが真ん中)
例: 3番の位置に「当たり(=おごる人)」が1個、残りはすべて「ハズレ(=おごらない人)」。
| スタート位置 | 当たり到達確率 | 解釈 |
|---|---|---|
| 1番からスタート | 18% | 有利(低い確率で引っかかる) |
| 2番からスタート | 26% | 中くらい |
| 3番からスタート | 28% | ⚠️ 最も引っかかる |
| 4番からスタート | 26% | 中くらい |
| 5番からスタート | 18% | 有利 |
攻略: スタート位置を選べるなら1番か5番を先取り。引っかからない確率82%(理論上の80%よりやや有利)。
📍 シナリオ3 · 1当たり4ハズレ(当たりが端にあるとき)
例: 1番の位置に「当たり」、残りはハズレ。
| スタート位置 | 当たり到達確率 | 解釈 |
|---|---|---|
| 1番からスタート | 36% | ⚠️ 圧倒的に不利 |
| 2番からスタート | 25% | 不利 |
| 3番からスタート | 14% | 中くらい |
| 4番からスタート | 7% | 有利 |
| 5番からスタート | 5% | 圧倒的に有利 |
当たり位置の反対側の端からスタートすれば引っかからない確率95%。つまり「当たりがどこにあるか + 自分がどこからスタートするか」がどちらも結果を左右する。シミュレーションを視覚的に見ると、両端が最も非対称だ。
📍 シナリオ4 · 4ハズレ1免除(当番/罰ゲーム免除)
例: 掃除当番5人のうち1人だけ免除。「免除」の位置が真ん中(3番)にあるとしよう。
- 免除到達確率が最も高いスタート位置: 3番(28%) ⭐
- 免除到達確率が最も低いスタート位置: 1番/5番(18%)
- 攻略: 免除位置が事前にわかるなら、免除位置と同じ縦線からスタート
- 公平な運営: 免除位置もスタート位置もすべてランダム配置してからあみだくじをスタート
📍 シナリオ5 · 2チーム分け(2人 vs 3人)
2通りの配置方法がある。結果の差が極端だ:
方式A — 隣接配置: [A, A, B, B, B]
- スタート位置1、2番 → Aチームに行く確率の合計が約59%
- スタート位置4、5番 → Bチームに行く確率の合計が約76%
- ⚠️ スタート位置が結果を70%程度決定 → ほぼあみだくじの意味なし
方式B — 交互配置: [A, B, A, B, B]
- すべてのスタート位置でA/B到達確率がほぼ均等
- ✅ これこそ本当のランダムなチーム分け
- 裏ワザ: チーム結果のラベルを隣接配置せず、alternating(交互)に配置
① 横線の本数: 人数 × 3以上
② スタート位置: ランダムシャッフル
③ ゴール選択肢: ランダム配置(特に当たり/免除の位置)
この3つをすべてやらなければ、あみだくじは「見かけだけランダム」にすぎない。
7実際のゲーム画面で見る2つのシナリオ
上のマトリクス分析をLuckyPlzのあみだくじ画面そのままに持ってきて、2つのシナリオで解いてみます。人とゴール選択肢の配置が変わるだけで、非対称の強さがどう変わるのか確認してみてください。
📍 Case A · 友人5人の新居祝い — 仕事2つ、免除3つ
ゴール選択肢: 免除 / 皿洗い / 免除 / 掃除 / 免除。5人のうち2人が仕事に当たる状況。
▲ Case A · 免除3 + 皿洗い + 掃除 / 仕事に当たる確率 両端41%、真ん中45%
| 参加者 | 仕事に当たる確率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 🟠 ジョングク 1番 | 41% | 安全 · 当たればほぼ皿洗い |
| 🔵 フンミン 2番 | 42% | 中くらい |
| 🟡 フェリックス 3番 | 45% ⚠️ | 最も危険(真ん中) |
| 🩷 ソンテ 4番 | 42% | 中くらい |
| 🟢 サングク 5番 | 41% | 安全 · 当たればほぼ掃除 |
📍 Case B · 友人たちのカラオケ — 1曲目を1人(当たり1、免除4)
ゴール選択肢: 免除 / 1曲目 / 免除 / 免除 / 免除。5人が集まったカラオケで、誰が1曲目を歌うか決める状況。結果が1箇所だけに集中すると、非対称がいかに極端になるか見てください。
▲ Case B · 1曲目1箇所 + 免除4箇所 / 両端の差は約2.7倍
| 参加者 | 1曲目の確率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 🟠 カリナ 1番 | 30% ⚠️ | 最も危険(1曲目のすぐ隣) |
| 🔵 ウィンター 2番 | 26% | 危険(1曲目の位置そのまま) |
| 🟡 ウォニョン 3番 | 22% | 中くらい |
| 🩷 ハニ 4番 | 16% | 安全 |
| 🟢 チェウォン 5番 | 11% ✅ | 最も安全(89%免除) |
🆚 2つのケースを一目で比較
| 比較 | Case A(仕事2個) | Case B(1曲目1個) |
|---|---|---|
| 最大差 | 4%p | 19%p |
| 最も危険な位置 | 真ん中 | 1曲目の隣(1番) |
| 最も安全な位置 | 両端 | 反対側の端(5番) |
| スタート位置の影響力 | 10%程度 | 70%程度 |
同じあみだくじ、同じ5人でもゴール選択肢をどう配置するかによって、結果の公平性はほぼ均等から2.7倍の非対称まで分かれます。免除・当たりのような単一の結果が1箇所に集中するほど、スタート位置が結果を圧倒的に左右するということ — これがあみだくじの本当の本質です。
8では、あみだくじをどう使うべきか
結論は3つ:
方法1: 横線を十分に引く(人数 × 3以上)
最も王道。5人なら15本以上、8人なら24本以上。ただし画面にびっしり詰まって、視覚的に少し窮屈になることがある。
方法2: スタート位置もランダムに混ぜる
横線を少なく引くなら、スタート位置そのものをもう一度シャッフルする形で補う。あみだくじの上に1〜5を書く前に、1〜5のカードをランダムに混ぜてからスタート。
方法3: いっそルーレットを使う(最もおすすめ)
ルーレットはマスの面積が同じなら数学的に100%均等だ。あみだくじのように「横線を十分に引いたか」を気にする必要がない。速くて公平で、それで終わり。
🎯 ルーレットを開く →ただ、あみだくじならではの魅力はあるんだ。「降りていく間の緊張感」はルーレットにはないからね。友達同士で雰囲気を盛り上げたいなら、あみだくじも十分いい選択。ただし、横線は十分に引こう。
🪜 あみだくじを開く →9実戦ガイド — 人数別の横線推奨
| 人数 | 最低横線 | 推奨横線 | それでもルーレット推奨? |
|---|---|---|---|
| 3人 | 9本 | 15本 | いいえ(あみだくじでOK) |
| 4人 | 12本 | 20本 | いいえ |
| 5人 | 15本 | 25本 | 場合による |
| 6〜8人 | 人数×3 | 人数×5 | はい(ルーレットが楽) |
| 9人+ | 人数×3 | 人数×5 | はい(あみだくじの可読性 ↓) |
ちなみにLuckyPlzのあみだくじは横線の本数を直接調整できる。デフォルト値は人数 × 2〜3程度で自動計算されるけど、スライダーでさらに増やせる。公平性を気にする場面なら、スライダーを一度最後まで押し切ってからスタートしよう。
10よく受ける質問
Q. じゃあ今まであみだくじで決めたのは全部不公平?
厳密にはそうだけど、「真ん中のマスが50%多く選ばれる」程度の偏りなので、日常で大きな問題にはならない。飲み会メニュー程度ならOK。ただし、大金/負担のかかる決定ならルーレット推奨。
Q. 1当たり4ハズレのとき、スタート位置を自分で決められるならどこがいい?
当たり位置が事前にわかっているなら当たり位置の反対側の端からスタート。上のシナリオ3で見たように、1番の位置に当たりがあれば5番からスタートすると到達確率5%で事実上安全。ただし「当たり位置」がわからず、スタート位置だけ決めるなら真ん中(3番)が安全 — どの位置に当たりがあっても到達確率が13〜28%の間で平均的だ。
Q. メニュー5個を決めるとき、好きなメニューは真ん中に置くべきか端に置くべきか?
真ん中が答え。シナリオ1で見た通り、真ん中の到達確率23.7% vs 端16〜17%。「どうしても食べたいメニュー」は3番の位置に、スタート位置も真ん中(3番)にすれば、そのメニューに行く確率は28%まで上がる。4人が1番/2番/4番/5番に散らばった状態で、自分だけ3番スタートならさらに有利。
Q. 2チームに分けるとき、結果のラベルをどう配置すべき?
必ず交互(alternating)配置。[A, A, B, B, B]のような隣接配置はスタート位置が結果を70%左右するので、事実上あみだくじが無意味。[A, B, A, B, B]のような交互配置を使えば、すべてのスタート位置でA/Bの確率がほぼ均等になる。シナリオ5の表を参照。
Q. じゃあLuckyPlzのあみだくじはこういう補正が全部入ってる?
現在のバージョンは(1) 横線の自動十分配置 + (2) スタート位置シャッフルオプションは入っている。(3) ゴール選択肢シャッフルはユーザーが入力した順番通りに配置される仕組みなので、自分でランダムに入力する必要がある。次のアップデートで「ゴールシャッフル」トグルを追加予定。
Q. スタート位置を自分で決めたら有利なんじゃない?
その通り。真ん中の位置(5人なら3番)を先取りすれば、統計的により当たりやすい。だからLuckyPlzのあみだくじはスタート位置も自動シャッフルしてくれるオプションを入れてある(デフォルトON)。これをオフにすると上の偏りがそのまま発生する。
Q. 横線が0本ならどうなる?
そのままスタート位置に到着。つまりシャッフルなしで、出発順がそのまま結果。100%の偏り(= 実はシャッフル自体が起きていない)。
Q. 他のサイトのあみだくじも同じ偏りがある?
うん。あみだくじアルゴリズム自体の特性なので、どこで回しても横線が足りなければ同じ偏りが発生する。サイトのコードの問題ではなく数学的な限界だ。
Q. シミュレーションのコードは公開できる?
JavaScriptのMulberry32 PRNG + シンプルなswapロジックだ。きれいに整理して次の記事でGitHubのリンクを公開予定。自分で回してみたい人は待っててね。