6月12日、スペースXがナスダックにSPCXとして上場。公開価格$135で約750億ドルを調達した史上最大のIPOであり、初取引日を$160.95(+19%)で終え、時価総額2兆ドルを突破する歴史的デビューとなった。初日の値動き・時価総額・バリュエーション・見通しを客観データで読み解く。(初取引日の終値時点)
| 公開価格 (IPO) | $135 | 基準 · 約750億ドル調達 |
| 初値 | $150 | 公開価格比 +11% |
| 日中高値 | +30%前後 | 一時 時価総額 約2.25兆ドル |
| 終値 | $160.95 | 公開価格比 +19%、時価総額2兆ドル突破 |
公開価格$135での時価総額は約1.77兆ドルで始まったが、初日19%高で2兆ドルを突破(日中+30%の高値で一時約2.25兆ドル)。デビュー初日に世界で最も価値ある上場企業の一角へ躍り出た。
調達規模 約750億ドルは史上最大のIPOとして記録された。保有株の価値により、イーロン・マスクは世界初の兆万長者(trillionaire)になったと報じられている。
2025年のスペースX総売上は約186億ドルと推定。うち衛星通信Starlinkが114億ドルで全体の61%を占め、前年(77億ドル)比48%増。Starlinkは営業利益44億ドルを稼ぎ、事実上唯一の利益エンジンだ(全社ベースではGAAP赤字)。2026年2月時点でStarlink加入者は160カ国1,000万人超。
問題は倍率だ。1.8兆ドルのバリュエーションは2025年売上の約60〜96倍(PSR)に相当し、最も割高な大型テックすら凌ぐ水準で、歴史上どの企業も達成していない成長率を既に織り込んでいる。今の株価は『現在の業績』ではなく『Starlink・Starship・宇宙インフラが今後数年で爆発的に伸びる』というシナリオに賭けている。
スペースXは一般的な『180日一括解除』ではなく段階的(staggered)構造を採用。第2四半期決算(7〜8月)後にインサイダー株の最大20%(株価が$135比30%以上なら+10%)が解放され、IPO後70・90・105・120・135日の各時点でさらに7%ずつ売却可能になる。そして180日で全株が解除される。
注目すべきはマスク本人は全体ロックアップ対象で早期解除に参加できない点。段階的構造は180日の一点に集中する売り圧力を分散させるが、逆に上場初期のボラティリティを高めうる。7〜8月の初回解除と初の四半期決算が、初期株価の最初の試金石だ。
デビューは華々しかったが、ここからは『成長の実現 vs 倍率の正常化』の綱引きだ。短期的には(1)段階的ロックアップ解除、(2)7〜8月の初四半期決算、(3)PSR60倍に対する市場の再評価がボラティリティを支配する公算が大きい。Starlinkの加入者・売上が市場予想を上回り続け、Starshipの進捗が見えれば強気が勢いづくが、成長が一四半期でも鈍れば弱気陣営の『$75底値論』が素早く呼び戻される。
一言で言えば — 今のSPCX株価は業績ではなく未来への信頼を買っている。 その信頼が四半期決算で証明されるかを、今後6カ月(=180日ロックアップ満了まで)が決める。