2026年5月28日、Anthropic が次世代フラッグシップ Opus 4.8 を公開した。正直性、エージェントコーディング、そして百万トークン長文脈での飛躍。公式発表とクラウドのモデルカードを一次情報に、旧版と競合を同じ表の上に並べる。
Anthropic は 2026年5月28日、次世代フラッグシップ Claude Opus 4.8 を公開した。直前の Opus 4.7 からわずか約41日で、近頃加速しているリリース周期をそのまま継いでいる。API のモデル文字列は claude-opus-4-8、AWS Bedrock では anthropic.claude-opus-4-8 で呼び出す。
本稿は 公式発表とクラウドのモデルカード(一次情報) を基準に、何が改善され、旧版・競合モデルとベンチマークがどう比較されるかをファクト重視でまとめる。数値の一部は Anthropic 公式ベンチマーク表が 画像形式 で提供され本文テキストに直接出ない。その場合は表を転記した信頼性の高い二次媒体の値を相互検証して採用し、各表の注に明記した。
① 「正直性」が今回の目玉。 Anthropic は Opus 4.8 を「進捗についてより正直で、より長く自律的に作業できる」モデルと紹介した。最も具体的な数値はコーディング領域にある。自分が書いたコードの欠陥を指摘せず通してしまう確率が、前世代比で約4分の1に減った。 根拠のない断定を減らし、不確実性を示す傾向も強まった。
② アライメント・安全性の指標が改善。 Anthropic のアライメントチームは、欺瞞・悪用協力などの「misaligned behavior」の割合が 4.7 比で大幅に低下したとする。報じられた定量値では、モデル毎に数千回のシミュレーションで misalignment スコアが 約2.5(4.7)から約1.9(4.8) に下がった(二次媒体引用)。
③ エージェントコーディングと長文脈が大きく向上。 後述の表のとおり、SWE-bench Pro と 1M トークン長文追跡(GraphWalks)で伸びが最も大きい。デフォルト effort が high に引き上げられ、4.7 と同程度のトークンでより良い結果を出す。
④ 速度とコスト。 新しい Fast mode は標準より約2.5倍速く、前世代の fast mode 比で約3倍安い。標準価格は 4.7 と同じ(入力 $5 / 出力 $25、100万トークン)。
以下は Anthropic 公式ベンチマーク表の値(画像表を転記した二次情報で相互検証)。同一手法・同一社内の比較で、最も信頼度が高い。
| ベンチマーク | Opus 4.8 | Opus 4.7 | 変化 |
|---|---|---|---|
| SWE-bench Verified (コーディング) | 88.6 | 87.6 | +1.0 |
| SWE-bench Pro | 69.2 | 64.3 | +4.9 |
| SWE-bench Multilingual | 84.4 | 80.5 | +3.9 |
| Terminal-Bench 2.1 (端末) | 74.6 | 66.1* | +8.5 |
| OSWorld-Verified (PC操作) | 83.4 | ~82.3 | +1.1 |
| GraphWalks BFS (1M 長文) | 68.1 | 40.3 | +27.8 |
| GraphWalks Parents (1M 長文) | 83.3 | 56.6 | +26.7 |
| USAMO 2026 (数学) | 96.7 | 69.3 | +27.4 |
| HLE (ツールなし) | 49.8 | 46.9 | +2.9 |
| HLE (ツール使用) | 57.9 | 54.7 | +3.2 |
| GPQA Diamond (大学院推論) | 93.6 | 94.2 | -0.6 |
| GDPval-AA (実務 ELO) | 1890 | 1753 | +137 |
| MCP-Atlas | 82.2 | 79.1 | +3.1 |
| Finance Agent v2 | 53.9 | 51.5 | +2.4 |
単位は %(GDPval-AA は ELO スコア)。*Terminal-Bench はバージョンが異なる(4.8=2.1 vs 4.7=2.0)ため直接比較は注意。GPQA はわずかに低下したが、すでに90%台で飽和したベンチのため測定ノイズと見る向きが多い。USAMO・GraphWalks の急上昇が数学・長文脈強化を最もよく示す。
2026年5月時点の競合フロンティアは OpenAI GPT-5.5(2026.04 公開)と Google Gemini 3.1 Pro(2026.02 公開)。下表は Opus 4.8 公式表に併記された比較値を転記したもの。ただし各社で測定 harness・条件が異なり、同名ベンチでも 1:1 の直接比較には限界がある点を前提とする。未公開・比較不可は N/A。
| ベンチマーク | Opus 4.8 | Opus 4.7 | GPT-5.5 | Gemini 3.1 Pro |
|---|---|---|---|---|
| SWE-bench Pro | 69.2 | 64.3 | 58.6 | 54.2 |
| SWE-bench Verified | 88.6 | 87.6 | N/A | 80.6 |
| Terminal-Bench 2.1 | 74.6 | 66.1 | 78.2† | 70.3 |
| GPQA Diamond | 93.6 | 94.2 | N/A | 94.3 |
| OSWorld-Verified | 83.4 | ~82.3 | 78.7 | 76.2 |
| GraphWalks BFS (1M) | 68.1 | 40.3 | 45.4 | N/A |
| HLE (ツールなし) | 49.8 | 46.9 | 41.4 | 44.4 |
| HLE (ツール使用) | 57.9 | 54.7 | 52.2 | 51.4 |
| MCP-Atlas | 82.2 | 79.1 | 75.3 | 78.2 |
| Finance Agent v2 | 53.9 | 51.5 | 51.8 | 43.0 |
| GDPval-AA (ELO) | 1890 | 1753 | 1769 | 1314 |
濃い色 = その行の最高値。†GPT-5.5 の Terminal-Bench 値は出典(harness)により 78.2〜83.4 と割れ、断定は難しい。GPT-5.5 の SWE-bench「Verified」は variant の差で本表では N/A。独立系の総合指標 Artificial Analysis Intelligence Index v4.0 では Opus 4.8 が 61.4 で首位(GPT-5.5 60.2、Opus 4.7 57.3)——第三者検証の観点。
エージェントコーディング、PC操作、1M 長文追跡、実務エージェントで Opus 4.8 が比較群の先頭。純粋な知識推論(GPQA)は Gemini 3.1 Pro と実質同点、端末エージェントは GPT-5.5 と接戦。 — ベンチマーク総括
Opus シリーズは 4.5(2025.11)→ 4.6(2026.02)→ 4.7(2026.04)→ 4.8(2026.05)と、間隔が縮まり続けている。同じ週に Anthropic が大型資金調達と上位モデル「Claude Mythos」の近接を告知したとの報道もある。ただしこの部分(調達規模・Mythos の時期)は 報道・予告段階であり Anthropic の一次確定文書では未検証のため、本文では断定しない。